未踏のVAシリーズに初挑戦! VA復活篇その1
とうとうと言うか、ようやくと言うべきか「PC-88VA」を入手することができた。個別ではいくつか未入手なマシンはあるものの、88シリーズとしてはコンプリートしたことになる。
ぶっちゃけVAはあまり好きなマシンではないし興味もない。16-bitCPUであるV30を積んでて(正確にはV30互換のV50)、PC-Engine(ゲーム機ではない)という独自のOSを持っていて、88では初となるスプライト機能を搭載している。これくらいの知識しかなかったし、今でもそうだ。
このように“鵺”的なスペックに相まって、98のようにフロッピードライブを縦積みした結果、無駄にデカくなり、まるでFHを二台重ねたようなデザインになってしまった。設計思想もユーザーターゲットも今ひとつわからないし、思わず「ムダムダムダムダーッ!!」と叫びたくなってしまうマシンなのだ。それでも一度は88のスプライトやらを見てみたい。という欲求にかられて入手してしまった。
三つ目には手を出すな!
VAシリーズの中古価格は幅が大きい。安いものは1万円半ばくらいで、高いものは4~5万円くらいにもなる。とりわけてレアなマシンではないが、当時高額(298,000円)だったこともあり、オークションの出現率はやや低いといったところだ。
高額になる理由のひとつは極端に動作品が少ないからだ。VAシリーズは二次電池の配下にも回路パターンが書き込まれている。長い年月を経て、二次電池に液漏れが発生し、回路を侵食し、その部分が断線となり動作しなくなるケースが多い。
VAのフロントパネルには、V1,V2,V3モードの動作を指し示すランプがついているのだが、不動品はパワーオン時に、ランプが3つ同時に表示されることから“三つ目”と呼ばれている。この三つ目は修理が極めて困難で、レトロPCマニアのあいだでは「三つ目には手を出すな!」が合言葉になるほどだ。
今回は、三つ目ではない状態を確認したVAを入手した。果たしてすんなり動いてくれるのかどうか、楽しみであり不安でもある。
画面表示され~ず!
届いたVAは三つ目ではないものの外装がとにかくひどかった(涙)。あちこちに傷はあるし、サビもひどい。ともあれ早速モニターにつないでスイッチを入れてみることにする。
おっと、その前にキーボードもつないでおこう。VAと8801FH以降のマシンはキーボードが共通で利用することができる。もちろんVAも利用することができるのだが、そのままの状態では利用できない。VAでTYPE A以降のキーボードを利用するには、足にあるスロットへ細い棒をつっこみ、その奥にあるスイッチをスライドさせる必要がある。
もちろん、また他の機種で使う場合には、スライダスイッチをもう一度切り替える必要がある。この辺も面倒な仕様だ。
準備ができたところで早速スイッチョン! う~ん、何も表示されないっすw ある程度は予想できたことだけど、それでもショック。まず、FDDがまったくアクセスされない。これも大きな問題だ。モニターに何も表示されないことと関連があるかもしれない。
フロントのディップスイッチを操作して、FDDへのアクセスをオフにしてみる。すると今度はすんなりと「How many files?」が表示された。推測するに、起動時のデバイスチェックでFDDかその前段階で何かしらのトラブルに見舞われているのだろう。この状態で、V1、V2のスイッチを切り替えてみる。すると、ちゃんと切り替わることがわかった。
VAを三枚におろす!
では、早速VAを分解。デカイだけに作業も難航するかと思いきや、それほど複雑な構造はしていなかった。VAは大きく分けて3つのボードで構成されている。V50が乗っかったメインボード、メインボードと重なるように繋がっているサブボード。こちらにはZ80が積んであるので、FDDのコントローラーだろう。そして、Cバス風味な拡張スロットにささったメモリボードだ。あとはAVのコントールをする小さなボードもある。
VAは後期のモデルと勘違いしがちだが、意外と初期のモデルで、発売されたのは1987年。SRの二年後、シリーズで言えばFH、MHの次に発売されたモデルだ。メインボードを見ると、後期の88には積層セラミックコンデンサが多用されているのに対して、初期のボードでは電解、あるいはタンタルが多く使われている。マザーボードの設計をみると、初期モデルなんだなぁということがわかる。
では、諸悪の根源となる二次電池を見てみると・・・。ついてましたよ。やはり筐体がデカイだけあって、電池もデカイ!! で、早速断線部を発見! 電池横のパターンが削れてしまっていることが目視でもわかる。まずはここをなんとかすることが先決だろう・・・。
ということで、この後の試行錯誤については、また続編にて^^
濃緑色の消しゴムキーボードに惑わされ…National JR.100
深夜のオークションは危険だ!
先月のこと。なんの考えもなくオークションにて「JR-100」を入手してしまった。
JR-100をご存知無い方に簡単に説明すると、1981年にNational(現Panasonicから発売されたパソコン入門で、ウィキ先生によると「目の粗いグラフィックやキャラクタグラフィック、白黒表示、最低限のサウンド機能だけを装備した低機能かつ低価格のパソコンである。」らしい。
“らしい”というのは、パソコンを触り始めた1982年当時、近辺でJR-100をほとんど見かけることはなく、ぶっちゃけ何の思い入れもなかったからだ。
唯一の接点と言えば横浜に存在していた情報処理専門学校の“誰でも触れるマイコンコーナー”にJR-100が設置されていたことくらいで、それもほとんど使うことはなく、いつも使うのは、もう一台のパピコンだった。
その程度の知識と接点しか持たなかったのだが、ちょっとだけ"濃緑色の消しゴムキーボードがかわいいなぁ”と思ったのが運の尽き、そのまま勢いで入札してしまい、結局けっこうなお値段で落札してしまったのである。
電源スイッチがない!
まぁ、いつまでもグジグジしていても仕方がない。届いたJR-100を開封し、早速愛用のPC-TV452に接続してみる。この世代の入門機といえば、大抵はRF接続だがJR-100は奇跡的にコンポジット端子がついていたのはありがたい。というか、そんなことも確認せずに入札してしまったのかと、またまた気落ちするが、ともあれスイッチオン!
と、思ったら本体のどこにも電源スイッチがない! ああ、バカでかい電源ボックスについてるのかなと思いきやこっちにもない。もしやACソケットの抜き差しで電源をオンオフするのか?と、色々調べてみるもどうも思い通りの回答が得られない。JR-100は入門機のくせにやたらとハードル高いマシンだった。
スイッチの件はひとまずおいといて、各種ケーブルを接続し、コンセントにプラグをイン! ・・・・そうだね、つかないよね・・・orz
“動作未確認”って書いてあったもんね。オークションではAV端子付きのパソコンで動作未確認ということは、“動かない”ことを意味しているんだよね。いつもなら冷静に判断して入札するはずなのだが、やはり深夜のオークションは・・・(以下略)
電源ボックスが怪しい!
パワーオンしない状況で一番疑わしいのは、このバカでかい電源ボックスだ。さっそくパカリと開けてみると、おなじみのデカイコンデンサ(通称:デカコン)が並んでいる。幸いなことに、すべてデカコンで代替えを持っていたので、さっそく交換。同じ容量だというのに、30年もたつとコンデンサも小さくなるのね~。と、幾分スッキリした電源ボックスを再び閉じてパワーオン!
し~~~ん・・・。はい。つきません・・・orz
こうなれば本体基板(通称:マザボ)のパターンを丹念に追って、断線をチェックするしかないかぁ~。と、JR-100を3枚におろす。マザボとキーボードがフィルムケーブルでガッチリつながってる。どこかで見た構造だなぁ~と思ったら、以前、壊してしまったぴゅう太とまったく同じ構造だった。
恐る恐るキーボードを剥がしながら、まずはACのコネクタ周りをみると、普段は電源ユニット内で見かけるヒューズが2本刺さってるじゃありませんか。
ヒューズをスタンドの明かりに近づけて、老眼をゴシゴシこすりつつ見ると、2本のうち1本はヒュースが確認できた。しかし、もう一本はどうも切れてるっぽい。
老眼じゃこれ以上確認できないと判断。テスター当ててみりゃ一発でわかるはず。ということで、早速テスターを当ててみると、まさにビンゴ!
まぁ、今どきJR-100が発熱するほど使い込むヤツも居ないだろうということで、リード線を使って直結。再びスイッチ・オン! 出ましたでました。これ以上シンプルにできないだろうと思うほどシンプルなBASIC起動画面。
簡単なBASICを入力して動作確認。ばっちり動きました。ちょうど、キッチンハイター漬けにしておいたカバーも真っ白になったことで、組み立てがっちゃんこ。もともと傷もなく素性の良かった筐体だけに、新品同様とまではいかないけれど、けっこういい感じに仕上がりました。
せっかくだからベーマガで何かゲームでも・・・と思ったけれど、老眼の身にあの小さな文字を追って入力しろというはかなり困難な所業。すんなり諦めて、JR-100の新たなご主人さまを探す旅にでかけました。
今回もいい人にもらわれるんだよ^^
キーボードを修理せよ! PC-6001mkII編
前回に引き続き、今回もキーボード修理のお話。しかもPC-6001mkII編。
PC-6001mkIIはPC-6601を含めて6回ほどメンテしたけれど、そのうちの5台が見事にキーボードに不具合が生じてるというものだった。
PC-6001mkIIにおけるキーボードでの不具合は押しても反応がないキーがちらほらと存在するのが特徴だ。原因はすべて“ラバードーム”の劣化によるものである。
PC-8801キーボード編でも紹介したが、昔のメカニカルキーボードでは、カップ状になったゴムがキースイッチとして採用されている事が多く、このゴムが経年劣化によって、張力を失い、正しくキーを押し戻せない、あるいは押せないことがトラブルの原因となる。
ラバードームを新品に交換すれば問題は解決するのだが、話はそう簡単ではない。まず、ラバードームが入手できない。現在のメカニカルキーボードの多くはスプリングが採用されている。たまに売っているのを見かけてもサイズが異なる。
次に、構造的にラバードームの交換ができない。PC-6001mkIIなどはまさにこれで、キースイッチにハメ殺しとなっているため、古いものを外して新しいものと交換できないのだ。交換するならキースイッチを丸ごと交換することになる。
以上の点から、なかなか難しいキーボードの修理だけど、PC-6001mkIIに限ってはとっておきの裏技があるのでご紹介しましょう~
綿棒でキーボードを復活!
用意するのは100均で売られてる綿棒のみ。できれば軸が紙でできてて、少し太めのやつ。あと綿棒を切断するニッパーも用意しておく。そして、あらかじめどのキーが反応しないかなどを調べておくこと。
まずはmk2を分解して、キーボードを取り外す。裏蓋にあるネジをちょちょっと外せば簡単にフロントパネルが取れるので、あとはキーボードコネクタを外すだけだ。キーボードユニットを裏返すと大量のネジが止められているので、これを外す。すると、基板とキートップ部分に分離できる。ケーブルが結束バンドで止められているので、これもはずそう!
ここで100均で購入した綿棒の先の部分をニッパーでカット、そして、先端部を反応がないキーのキートップの穴の中に差し込む。綿棒の先っちょが、ちょっとはみ出すくらいの長さに調節するのがポイントだ。作業はこれで終了。あとは再び大量のネジを止めて、ケーブルを接続するだけ。
ようはラバーカップの張力が弱まり、基板との接触が悪くなった分、キートップを少し長くして、より深く押せるようにしただけだ。単純な修理方法だけど、効果は抜群なので、ぜひ試してみて欲しいっす^^
さらに上行く修理法とは!?
綿棒チャレンジが一番手軽で確実なキーボード修理方法だが、確実に直したい。もうキーボードで悩みたくない!という方は、キースイッチの交換という最終手段も用意されている。
残念ながら、ラバーカップを利用した60mk2とまったく同じキースイッチは、もはや販売されていない。いや、正確には販売されているのだが、サイズが合わないのだ。
そこで代用品を探しまくったところ、かなりサイズが近いものがAliexpressで販売されていることが判明。さっそくお取り寄せてみた。
待つこと2週間。ようやく届いたキースイッチはカチカチと硬めの感触だが、確実に押されている感がある。サイズは左右が2mm程度小さいだけで高さもマッチする。とにかく一つ交換して動作確認すると、しっかりと打鍵できた! これはいける!
あとはえっちらおっちら、ひたすらハンダを吸っては外して、吸っては外してを繰り返す。ようやくキレイに外したら今度は、えっちらおっちら付け替える作業を繰り返した。貴重な夏休みを一日使ってようやくすべてのキーセットを交換することができた。
カチカチと打鍵の音がちょっとうるさいのと、やはり押した感じが固いのがちょっと気になるけれど、それでも確実に60mk2でキーが押せるということと、この先壊れる心配がなくなったのは大きいかもしれない。
お値段も100個で1000円程度と手頃だし、60mk2のキーボードに不安を抱えている人は、ぜひチャレンジしてみてもらいたいっす^^