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Macintosh Plusのプチ改造&修理 コンデンサ交換&メモリ増設編

コンデンサ交換&メモリ増設編

~前回のあらすじ~

オークションで手に入れた美品のMacintosh PlusにBlueSCSIを快適に使うためのプチ改造を行ったものの、いざ起動してみると破裂音とともに白煙が立ち上るトラブルが発生した。果たして美品のMacintosh Plusは、無事生き返ることができるのか否や!?

■C38を探せ!

白煙が立ち上ったときに電源のロジックを搭載しているアナログボードが火元であることは確認しているので、とりあえずコンデンサを放電させるつもりで2時間ばかり放置し、その後に現場検証を行った。
感電に気をつけつつ周囲を見回してみると、マザーボードにブラスチックの破片が落ちていることが判明。どうやら「C38」に設置されている箱型のコンデンサが破裂した模様だ。
さっそくグーグル先生にC38に関する情報をお尋ねすると、どうやら128K~SEあたりのコンパクトマックでは、このコンデンサが破裂するのはよくある故障らしい。高電圧のかかる電源付近では、パーツも劣化しやすいのかもしれない。

こちらが火災発生現場。コンデンサのプラスチックケースが見事に割れている。

こちらが火災発生現場。コンデンサのプラスチックケースが見事に割れている。

さらに調べを進めると、同パーツはすでに生産が中止されて入手は不可能であることがわかった。とりあえずKEMET社の「R474N31005001K」というパーツが代用に適しているらしいが、これも手に入れることができるのか、はなはだ疑問だ。

早速Amazonで検索をかけてみる。予想に反してあっさり検索に引っかかってくれたが、商品は欠品中(涙)。しかもけっこう前から欠品してる感じだ。その他の代替パーツもすべて欠品していて、Amazon以外のマルツや秋月、千石電商でも売っていない。
そこで検索対象をグローバルにしてみると、どうやらアメリカでは普通に買えるらしい。ただしパーツ代が200円程度なのに対して、送料が2000円もかかる模様。円安バンザイ(涙)
他に選択肢がない以上、アメリカのショップに注文するしかない。幸いHPは日本語で書かれていてわかりやすい“Digikey”というサイトを利用してパーツを注文。一日でも早い到着を祈るばかりだ。

Amazonで手に入れられば話は早いのに…

Amazonで手に入れられば話は早いのに…

■パーツ到着

待つことおよそ一週間。思ったよりも早く到着した。早速付け替え作業にとりかかる。
Macintosh Plusのアナログボードは側面に立てかけられた状態で設置されている。これを取り外すにはネジを数個とブラウン管のキャップに繋がるケーブルを取り外さなければならない。だが、このケーブルが曲者なのだ。

ようやく届いた代替え部品「R474N31005001K」

ようやく届いた代替え部品「R474N31005001K」

ブラウン管部分に高電圧が残っていることが多く、専用の器具を使って正しく放電し、適切に取り扱わなければならない。でないと、最悪、感電死の可能性もなくはない。なので、ここからの作業は自己責任ということで、決して安易に手を出さないようおすすめする。

ブラウン管は怖いよー;;

ブラウン管は怖いよー;;

ともあれ、破裂したボックスのコンデンサとその他の電解コンデンサもついで交換。今度こそ、うまく動くことを祈りつつ、恐る恐るスイッチョン!
SE/30に比べると反応が遅いので、フリーズしたかと思ったけどノロノロと読み込み始めました! さらに待つこと1分半、ようやくファインダーが起動し、マウス操作できるようになっても動作は安定。ここで始めて、今回入手したMacPlusの搭載メモリが2MBであることが判明した。

元々設置されていたメモリは1MB SIMMと判明

元々設置されていたメモリは1MB SIMMと判明

以前使っていたMacPlusよりも遅く感じるのはメモリ不足のせいもあるかもしれない。簡単なゲームだけならいざしらず、2MBでは漢字トーク7を起動するのもちょっとキツイ。そうだ。SE/30から分けていただくことにするか。

■SE/30からメモリを頂戴する

MacPlusを分解しつつ、同時にSE/30も分解するという移植手術を行わなくてはならない。分解そのものよりも、分解のための場所を確保する方が大変だった。
SE/30のマザーボードを引き出してみると、メモリスロットがすべて埋まっている。合計メモリが20MBだったので、4MBx4、1MBx4の組み合わせだと推測できる。よくみると、手前のSIMMに4MBの記載があるので、後ろの4枚が1MB SIMMなのだろう。MacPlusは最大4MBまで拡張が可能なので、この1MB SIMMを4枚いただくことにする。

フルに埋まったメモリ群!

フルに埋まったメモリ群!

ポンポンとSE/30のメモリソケットから30ピンの1MB SIMMを取り出して、MacPlusに載せ替える。また仮組みの状態でスイッチョン。ノロノロと起動してから「About this Macintosh」を見ると…。やはり2MBのまま。SIMMとの相性が悪いのか、しかし2MBだけ認識するというのもおかしな話だし。またもやGoogle先生の出番だ。

あれこれ調べていくと、ようやく見つけた文献で、メモリ増設の際は抵抗をカットする必要があることが判明。あ~そうか。はるか30年前にも同じことをしたなぁと今更ながらに思い出し、該当箇所の抵抗をカット。いざというときに元に戻せるよう、カットしただけの状態にしておく。

R9抵抗をカットしてずらしておく

R9抵抗をカットしてずらしておく

再びスイッチョン! 今度は正しく4MBとして認識されたようだ。漢字Talkの日本語フォントもきちんと読み込まれているし、心なしかスピードも速くなった気がする。
その後、何度か再起動をかけたり、電源のオンオフを繰り返してみたが、安定した動きを見せている。とくに問題はなさそうだ。
Mac Plusを手に入れてから、ここまでかかった費用と時間はおよそ3000円と二週間。思わぬ出費と手間がかかったが、それだけに愛着も湧いたマシンとなった。

心なしか速くなった気がする

心なしか速くなった気がする

それにしてもBlueSCSIは快適だ。いくらでも容量は増やせるし、SheepShaverというエミュレーターを通じて、Windowsマシンで仮想HDDの内容を編集することもできる画期的なデバイスだ。BlueSCSIについては、いつか詳しい運用方法を解説しよう。

Macintosh Plusのプチ改造&修理 ダイオード追加編

“1リットルのホンダ”とバカにされた初代Macintoshに改良を重ね、標準でSCSIコネクタとAppleTalkと搭載。最大4MBまで拡張可能というハイスペックに生まれ変わったMacintosh Plus。同プロジェクトを先導した新CEOのジョン・スカリーとジョブスは“ダイナミック・デュオ”と呼ばれ、華々しいデビューを飾った。
MacPlusは個人的にも思い入れの深いマシンで、社会人として初めて自分の稼いだお金で購入したマシンだ。数々の思い出を胸に美品を手に入れたつもりが、その後のトラブルが続出。果たして無事に使うことができるのか!?

■奇跡の美品!

先日、ヤフオクにてMacintosh Plusを落札した。相場よりも少し値が張ってしまったが写真を見る限りかなりの美品で、しかも動作確認が取れていたので迷わず入札。Plusで使えるマウスとキーボードを所有していたことも無理を後押しした結果となった。

実物が届いてみると、予想どおりというか予想以上の美品だった。フロントに若干の黄ばみが見られるものの、良く見なければわからない程度。新品同様のプラチナ・ホワイトがほぼ全面に残されている。コネクタ周りもサビ一つ見当たらない。発売から30年ほど経過した現在、これほどの美品に出会うことはまず奇跡に近いだろう。

足のゴム裏ですら真っ白な状態。まさに奇跡の一品だ!

足のゴム裏ですら真っ白な状態。まさに奇跡の一品だ!

すでにSE/30を所有していたので、システムその他に関してはすでに揃っていた。ハードディスク・イメージを仮想HDDとして認識できる“BlueSCSI”を利用して、システムも構築できているので、MacPlusでの運用も問題ないだろう。ともあれ、まずは動作確認から始めてみる。

■動作も完璧!

まずはFDDからの起動だ。この日のために売らずに保存しておいた9ピンコネクタのマウスとモジュラージャックコネクタのキーボードを接続する。マウスは実はApple IIc用なので、若干デザインが異なるのだが、動作的には完全互換だ。
キーボードはテンキーとカーソルキーが備わったPlus用ではなく、初代もしくは512で使われていたコンパクトタイプのものだ。テンキーがないので多少不便を感じるが、デザイン的にはやはりコンパクトのほうがしっくりと馴染む。

テンキーなしのコンパクトタイプ。これまた奇跡の美品!

テンキーなしのコンパクトタイプ。これまた奇跡の美品!

電源を差して早速起動。“スポーン”というPlus独特の抜けたような起動音とともにぼんやりとブラウン管にデスクトップ画面が映し出される。マウスカーソルが表示されて、ノロノロFDDが動き始め、やがてシステムを認知したことを知らせる“スマイルマック”が表示される。“やれやれ無事動いてくれた・・・”と安心するのはまだ早い!

“Wlcome to Macintosh”のメッセージが表示されることしばし、ようやくメニューバーが現れ、FDDアイコンをクリックできるようになる。ここまでおよそ1分。SSDからのWindows起動に慣れた身としては永遠とも言える長い時間だ。

わかっちゃいたけど遅い・・・

わかっちゃいたけど遅い・・・

ともあれ無事に起動。試しにフォルダを作成し、今度はゴミ箱へ運んでゴミ箱を空にしてみる。こちらもうまく動作した。
システムをシャットダウンさせるとフロッピーディスクを勢いよく吐き出して画面が黒くなる。壊れがちなオートイジェクトのギアも健在のようだ。

■プチ魔改造にチャレンジ!

さて、前述したとおりSE/30では“BlueSCSI”というガジェットを利用してハードディスクイメージを実HDDのように使用していた。MacPlusにもSCSIコネクタが標準装備されているのでBlueSCSIを利用することができる。
しかし、SE/30のSCSIコネクタには電源が通っているのでバスパワーで利用できるのに対し、MacPlusのコネクタには電源が通っていないので、別途USBにて電源を確保しなければならない。難しい話ではないが、どうもスマートでない。

そこで、色々と調べてみるとどうやらマザーボードのある箇所にダイオードを追加すれば、SCSIのバスに電源を通すことができるようになるらしい。どのタイプのダイオードを利用するのかさらに調べていくと、海外のMacフォーラムに“「1N4007」で行けるよ!”と書き込みがあった。

早速、Amazonで検索。すると出てきました。同じ型が! しかもアマプラで翌日配送ときてるからありがたい。即購入ということでポチ!
同時にダイオードを追加する場所も確認。どうやらマザボSCSIコネクタ付近らしい。ダイオードは取り付け方向も決まっているので注意が必要だ。

赤枠の空きスペースにダイオードを設置する予定

赤枠の空きスペースにダイオードを設置する予定

■コンパクトMacの分解に一苦労

翌日、“商品を投函したよ~!”とAmazonからメールが届いたので早速郵便受けに行くと、ありましたありましたダイオード。本当に翌日なのね。と感心しつつ、これからMacPlusを分解しなくちゃいけないことを考えるとちょっと不安に…。

無事に届いた「1N4007ダイオード」

無事に届いた「1N4007ダイオード

これまでコンパクトマックの分解は3回ばかり試したことがあるけれど、今回はケースをこじあける“オープナー”がない。以前に「もはや必要なし」と判断して手離してしまっていたのだった。

コンパクトマックはフロントパネルと背面のケースがピッタリと密着しているため、分離するには溝の隙間に金具を差し込み、こじ開けなければならない。そのため“マックオープナー”なる専用の工具が販売されていたのだが、今ではオークションに年に一回出るかでないかの珍品となっている。目先の金に目がくらみ、売ってしまった自分を呪いたい。

何か代用できるものは…と、工具入れを漁っていると。なんとなく代用できそうなものを発見。それは30センチの金尺。こいつを溝に差して少しずつ剥がしていけばなんとかなるかも…。ものは試しというより、もはやこいつに頼るほかない。

すこしっつ慎重に・・・

すこしっつ慎重に・・・

溝に差し込み、慎重に少しずつずらしていくと、わずかに隙間が広がった。なんとかいけそう。その後、何回か失敗してケースを削ってしまったりもしたけど、無事にMacPlusをご開帳することができた。

ケースさえ取り外すことができればあとは簡単。マザーボードに繋がる電源ケーブルFDDのソケットを抜き、引き出しのようにマザーボードを引き抜くことができる。なかなか良くできた設計だ。

ダイオードを設置。スイッチオン!

マザーボード上のSCSIコネクタ付近に「CR1」と書かれた空きスペースがある。ここにダイオードを設置する。ダイオードは方向が決められているので、矢印がある方向にダイオードの白帯が来るように設置する必要がある。それさえ注意すれば簡単な作業だ。
ダイオードを差し込み、ちょちょいのちょいとハンダ付けして作業は完了。仮組状態で電源を入れてみる。うまく行けば外部電源なしでBlueSCSIを認識するはずだ。

CR1に無事、ダイオードを設置完了!

CR1に無事、ダイオードを設置完了!

再び“スポーン”という音とともにスマイルマックが表示された。どうやらSCSIコネクタから電源を供給できているようだ。無事成功!
と、ここでトラブルが発生!! スマイルマックの表示に気をよくしていると、何やら焦げた匂いが…。クンクンと鼻を立てた瞬間、“ポンッ”という破裂音とともに、Plus本体から煙が吹き出し始めた!!

一瞬だが火花も見えたので、慌てて電源を落とし、ソケットから電源ケーブルを引き抜く。まだ心臓がドキドキしている。ブラウン管を内蔵した古いマックはこれがあるから怖いのだ(涙)


つい数時間前まで美品動作品を手に入れて喜んでいたのも束の間、一転して廃盤の危機にさらされてしまった。このまま電源を封印して高価なオブジェとするか、それともダメもとで修理にチャレンジしてPlusを復活させるか。

史上最大の作戦!文字化けを修理せよ! PC-98DO

史上最大の作戦!文字化けを修理せよ! PC-98DO

V30ベースのPC-9801にPC-8801MH相当のロジックを詰め込んだ、一粒で二度美味しいマシン。それがPC-98DOだ!
前面パネルに配置されたスイッチで98モードと88モードを切り替えることで、あるときはPC-9801VMとして、そしてまたあるときはPC-8801MAとして楽しむことができる。もちろん、88モードにはV1S、V1H、V2を切り替えることも可能だ。

そして今回、久しぶりに完全ジャンクの98DOを手に入れることができた。実は98DOを買うのはDO+も含めて4度目だけど、本格的に修理をするのは初めての経験だ。果たしてうまく修理できるだろうか。

■まずは電源ユニットから

今回入手した98DOは電源がまったく入らないとのことだったので、まずはここから攻略しよう。98DOは電源部、FDD部、マザーボードとそれぞれユニットで構成されているので、88に比べると分解がとっても楽ちん。大きなネジをすぽぽんと取り外して、電源やらFDDやらのケーブルを外すだけで、あっという間にマザーボードまで到達することができる。そこまでの所要時間はおよそ5分程度だ。

98DO分解後

見かけの割には分解が簡単^^

取り出した電源ユニットのカバーを外すと、あの液漏れ独特な香ばしい匂いが漂ってきた。ぱっと見ではわからないけどコンデンサが液漏れしてることはほぼ間違いなし。電源ユニット内で摩天楼のようにそびえ立つデカコンデンサをポコポコと取り外してみると、やはりいくつかのコンデンサで液漏れした跡が見つかった。

かねてからかき集めておいた新品のコンデンサに交換して、コンデンサのプラスマイナスを間違えていないかどうか最終確認をしてから再びスイッチョン!
マザーボードに直刺ししたFDDエミュがけたたましく動き始め、88モードでN88-DiskBASICを起動することに成功、電源問題はこれで無事解決することができた!

作業的にはあっけなく直ったけど、実際の修理よりもコロナ禍で自宅に引きこもったまま容量がぴったりのデカコンデンサを調達しなければならない方が大変ですた(涙)

電源ユニット

デカコンデンサはデカイだけあって高い;;

ともあれ88モードが概ねOKだったので、引き続き98モードでの動作確認。N88-DiskBASICからMS-DOSに変えて、またまたスイッチョン! こちらも問題なくファイルを読み込んでいるので、気をよくしていると、起動されたMS-DOSのなにかがおかしい! よくよく見てみれば1バイトの文字は正しく表示されているけど、2バイト文字が怪しいギリシャ文字に置き換えられてるではありませんか;;

もしかしたら、ディスクイメージが壊れてるのかも?と思い、今度は実FDDを繋いでから、本物のフロッピーディスクを使ってMS-DOS 5.0Aを起動してみる。だけど結果は同じ。さらにMS-DOS3.3、N88-DiskBASICを起動してみるが、やっぱり2バイトコードの部分だけが文字化けを起こしてしまっている。

98DOの文字化け

謎のギリシャ文字;;

またしても88モードに切り替えて動作確認してみると、88モードでは漢字も問題なく表示されている。ゲームも起動したし、FM音源の音色も美しい。ん?そういえば起動時のピポ音も聞いてなかったような気がする。再度98モードに切り替えてMS-DOSを起動させてみるとやっぱりピポ音は聞こえていなかった。

これまで何度か98DOを購入し、ニコイチ程度の修理をした経験はあるが、文字化けは初めての現象だ。そこでさっそく情報を収集すべくgoogle先生に「#PC-98DO 文字化け」でお伺いをたててみることに…。

■98DOの文字化けは割と有名だった!

Google先生の検索結果を見てみると、まず98DOの文字化け問題は割とメジャーな問題であることがわかった。さらに情報を収集してみると、以下の2つのケースで文字化けを修復した人がいることが判明した。

【修理成功ケース①】 二次電池付近のICのソケットを交換
【修理成功ケース②】 二次電池付近のコンデンサを交換

ここでもやはりキーワードは「二次電池」だ。今回入手した98DOは、ホコリも少なく内部的にはキレイだと思っていたけど、それでも二次電池付近には緑青がはびこり、回路に断線があった。NECのレトロPCを使う限り、この呪縛からは逃れられない運命なのだろうか。
ともあれ、諸悪の根源である二次電池を取り外し、断線状況を確認する。見たとこ大きな断線箇所は2つだ。断線処理をしつつ、上記2つの成功例を試してみることにした。

■成功例その① ICソケットの交換を試す

文字化け解消の成功例その①は「二次電池付近のICソケットを交換する」という方法だ。ソケットの場所はすぐにわかった。

文字化けの修理に成功したブログでは、このソケットの足に緑青がはびこり、一部腐食している状態だったと書いてあったので試しにICをソケットから抜いて見ると、意外にもサビもなくキレイな状態だった。

ソケットIC

囲みの部分が例のソケットIC

うーん…これは今回のケースには当てはまらないのではないかと思いつつも、とりあえずソケットを交換してみたが、やはり思ったとおり症状は変わらずという結果だった。ついでに他の電解コンデンサやトリムコンデンサまで交換してみたが、結果は変わらず。

ただひとつ判明したのは、このソケットに刺さっているICが98の漢字表示に重要な役割を果たしているということだ。試しにソケットを外した状態で起動してみると、文字化けどころかすべての2バイト文字が豆腐になってしまった。

豆腐文字

豆腐文字…。やはりここが漢字表示の鍵を握っていることは間違いない!

■成功例その② コンデンサを交換してみる

続いて、もう一つの成功例である二次電池付近のコンデンサを交換してみた。98DOは88に比べて電解コンデンサの数が少ないので、こちらも簡単に特定することができた。サクサクっとコンデンサを交換し、再度スイッチョン! 結果は変わらず…。これで、今回の文字化けが2つの成功例ともに当てはまらない第3のケースということが確定したわけだ。

コンデンサ

囲みの部分が例のコンデンサ。今回は関係なかった。

■残るは断線処理しかないが…

となれば残るは断線だ。二次電池のあった場所では、いくつかのラインが集中している。それらの配線を大まかにA群とB群とに分けてみると、目視ではB群の方が断線状況がひどいことがわかる。
ちなみにA群、B群ともにスイッチ側の終端は、裏側に回っていて、一部は例のソケットICに繋がっているようだが、もう一方の終端は基板の反対側まで伸びていて行き先は様々だ。

そこで、まずは被害の大きいB群の断線から処理していくことにした。断線をチェックしては繋げて表示確認、という作業をひたすら何度も繰り返すこと3日間…。結論から言うと文字化けは直らなかった(涙)

断線処理

苦労に苦労を重ねた断線処理。無駄じゃなかった…と思いたい。

■アプローチを変えて、再度チャレンジ

3日間断線と格闘したものの修復できず、なにより髪の毛よりも細いポリ線をゴマ粒よりも小さいハンダ点に繋ぐ作業は、老眼の身にとってはかなり苦痛だった;; 「もう、このまま88MAとして使うのもいいかも…」と心が折れかけたりもしたけど、やはり諦められずに再度チャレンジすることに。

B群に続いて、今度はA群の断線チェックを行うわけだが、同じ方法ではラチが開かないと判断。そこで、「ソケットICに問題があるのは明確なのだから、そこを中心として、結線チェックしてみよう」という事になった。

調べてみると、どうやら問題のソケットICは隣にある大きめなICに繋がっている線が多いことがわかった。そこである仮説を立ててみる。つまり、「隣接する大きめのICはおそらく漢字データを含むBASIC-ROMで、ソケットに刺さっている小さなICはキャッシュのような役目」をしているのではないかと。

BASIC-ROMからのデータが正しくCPUに送られて(もしくは受け取れて)ないことが原因じゃないのかな~と思い、今度はBASIC-ROM(と思われる)方の足をひたすら追い続けてみた。

■ついに原因箇所を特定!!

その中でひとつ、断線に関連し、直接CPUの裏側の足に通じている線を発見。試しにニクロム線で双方の足を繋げ、再び電源その他を装着してスイッチョン!

原因特定

ついに原因となる断線箇所を発見!!

ちゃんら~ん!! なんと文字化けが直り、正しい漢字が表示されるようになりました!! 推測は正しかったのかもしれない。ちなみに同じ型番のICがさらにもう一つあるので、こちらは88用のBASIC-ROMではないかと推測。88は元から壊れていないので、これ以上深追いしないほうがいいだろう。

正しい表示に

見慣れた美しい日本語が戻ってきた!;;

表面のコートを削ったあとは空気に触れて錆びつかないよう、レジンを塗り塗りしたあと硬化させて後始末。その後キチンと組み立てて、再度動作確認。ドライブの調子もいいし、88,98の切り替えも問題なし!

なんだかんだと二週間くらいかかったけど、粘ってみて良かった。嬉しさもひとしおのPC-98DOでした。今回も大事に使ってくれる人にもらわれていくんだよ^^