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Macintosh Plusのプチ改造&修理 ダイオード追加編

“1リットルのホンダ”とバカにされた初代Macintoshに改良を重ね、標準でSCSIコネクタとAppleTalkと搭載。最大4MBまで拡張可能というハイスペックに生まれ変わったMacintosh Plus。同プロジェクトを先導した新CEOのジョン・スカリーとジョブスは“ダイナミック・デュオ”と呼ばれ、華々しいデビューを飾った。
MacPlusは個人的にも思い入れの深いマシンで、社会人として初めて自分の稼いだお金で購入したマシンだ。数々の思い出を胸に美品を手に入れたつもりが、その後のトラブルが続出。果たして無事に使うことができるのか!?

■奇跡の美品!

先日、ヤフオクにてMacintosh Plusを落札した。相場よりも少し値が張ってしまったが写真を見る限りかなりの美品で、しかも動作確認が取れていたので迷わず入札。Plusで使えるマウスとキーボードを所有していたことも無理を後押しした結果となった。

実物が届いてみると、予想どおりというか予想以上の美品だった。フロントに若干の黄ばみが見られるものの、良く見なければわからない程度。新品同様のプラチナ・ホワイトがほぼ全面に残されている。コネクタ周りもサビ一つ見当たらない。発売から30年ほど経過した現在、これほどの美品に出会うことはまず奇跡に近いだろう。

足のゴム裏ですら真っ白な状態。まさに奇跡の一品だ!

足のゴム裏ですら真っ白な状態。まさに奇跡の一品だ!

すでにSE/30を所有していたので、システムその他に関してはすでに揃っていた。ハードディスク・イメージを仮想HDDとして認識できる“BlueSCSI”を利用して、システムも構築できているので、MacPlusでの運用も問題ないだろう。ともあれ、まずは動作確認から始めてみる。

■動作も完璧!

まずはFDDからの起動だ。この日のために売らずに保存しておいた9ピンコネクタのマウスとモジュラージャックコネクタのキーボードを接続する。マウスは実はApple IIc用なので、若干デザインが異なるのだが、動作的には完全互換だ。
キーボードはテンキーとカーソルキーが備わったPlus用ではなく、初代もしくは512で使われていたコンパクトタイプのものだ。テンキーがないので多少不便を感じるが、デザイン的にはやはりコンパクトのほうがしっくりと馴染む。

テンキーなしのコンパクトタイプ。これまた奇跡の美品!

テンキーなしのコンパクトタイプ。これまた奇跡の美品!

電源を差して早速起動。“スポーン”というPlus独特の抜けたような起動音とともにぼんやりとブラウン管にデスクトップ画面が映し出される。マウスカーソルが表示されて、ノロノロFDDが動き始め、やがてシステムを認知したことを知らせる“スマイルマック”が表示される。“やれやれ無事動いてくれた・・・”と安心するのはまだ早い!

“Wlcome to Macintosh”のメッセージが表示されることしばし、ようやくメニューバーが現れ、FDDアイコンをクリックできるようになる。ここまでおよそ1分。SSDからのWindows起動に慣れた身としては永遠とも言える長い時間だ。

わかっちゃいたけど遅い・・・

わかっちゃいたけど遅い・・・

ともあれ無事に起動。試しにフォルダを作成し、今度はゴミ箱へ運んでゴミ箱を空にしてみる。こちらもうまく動作した。
システムをシャットダウンさせるとフロッピーディスクを勢いよく吐き出して画面が黒くなる。壊れがちなオートイジェクトのギアも健在のようだ。

■プチ魔改造にチャレンジ!

さて、前述したとおりSE/30では“BlueSCSI”というガジェットを利用してハードディスクイメージを実HDDのように使用していた。MacPlusにもSCSIコネクタが標準装備されているのでBlueSCSIを利用することができる。
しかし、SE/30のSCSIコネクタには電源が通っているのでバスパワーで利用できるのに対し、MacPlusのコネクタには電源が通っていないので、別途USBにて電源を確保しなければならない。難しい話ではないが、どうもスマートでない。

そこで、色々と調べてみるとどうやらマザーボードのある箇所にダイオードを追加すれば、SCSIのバスに電源を通すことができるようになるらしい。どのタイプのダイオードを利用するのかさらに調べていくと、海外のMacフォーラムに“「1N4007」で行けるよ!”と書き込みがあった。

早速、Amazonで検索。すると出てきました。同じ型が! しかもアマプラで翌日配送ときてるからありがたい。即購入ということでポチ!
同時にダイオードを追加する場所も確認。どうやらマザボSCSIコネクタ付近らしい。ダイオードは取り付け方向も決まっているので注意が必要だ。

赤枠の空きスペースにダイオードを設置する予定

赤枠の空きスペースにダイオードを設置する予定

■コンパクトMacの分解に一苦労

翌日、“商品を投函したよ~!”とAmazonからメールが届いたので早速郵便受けに行くと、ありましたありましたダイオード。本当に翌日なのね。と感心しつつ、これからMacPlusを分解しなくちゃいけないことを考えるとちょっと不安に…。

無事に届いた「1N4007ダイオード」

無事に届いた「1N4007ダイオード

これまでコンパクトマックの分解は3回ばかり試したことがあるけれど、今回はケースをこじあける“オープナー”がない。以前に「もはや必要なし」と判断して手離してしまっていたのだった。

コンパクトマックはフロントパネルと背面のケースがピッタリと密着しているため、分離するには溝の隙間に金具を差し込み、こじ開けなければならない。そのため“マックオープナー”なる専用の工具が販売されていたのだが、今ではオークションに年に一回出るかでないかの珍品となっている。目先の金に目がくらみ、売ってしまった自分を呪いたい。

何か代用できるものは…と、工具入れを漁っていると。なんとなく代用できそうなものを発見。それは30センチの金尺。こいつを溝に差して少しずつ剥がしていけばなんとかなるかも…。ものは試しというより、もはやこいつに頼るほかない。

すこしっつ慎重に・・・

すこしっつ慎重に・・・

溝に差し込み、慎重に少しずつずらしていくと、わずかに隙間が広がった。なんとかいけそう。その後、何回か失敗してケースを削ってしまったりもしたけど、無事にMacPlusをご開帳することができた。

ケースさえ取り外すことができればあとは簡単。マザーボードに繋がる電源ケーブルFDDのソケットを抜き、引き出しのようにマザーボードを引き抜くことができる。なかなか良くできた設計だ。

ダイオードを設置。スイッチオン!

マザーボード上のSCSIコネクタ付近に「CR1」と書かれた空きスペースがある。ここにダイオードを設置する。ダイオードは方向が決められているので、矢印がある方向にダイオードの白帯が来るように設置する必要がある。それさえ注意すれば簡単な作業だ。
ダイオードを差し込み、ちょちょいのちょいとハンダ付けして作業は完了。仮組状態で電源を入れてみる。うまく行けば外部電源なしでBlueSCSIを認識するはずだ。

CR1に無事、ダイオードを設置完了!

CR1に無事、ダイオードを設置完了!

再び“スポーン”という音とともにスマイルマックが表示された。どうやらSCSIコネクタから電源を供給できているようだ。無事成功!
と、ここでトラブルが発生!! スマイルマックの表示に気をよくしていると、何やら焦げた匂いが…。クンクンと鼻を立てた瞬間、“ポンッ”という破裂音とともに、Plus本体から煙が吹き出し始めた!!

一瞬だが火花も見えたので、慌てて電源を落とし、ソケットから電源ケーブルを引き抜く。まだ心臓がドキドキしている。ブラウン管を内蔵した古いマックはこれがあるから怖いのだ(涙)


つい数時間前まで美品動作品を手に入れて喜んでいたのも束の間、一転して廃盤の危機にさらされてしまった。このまま電源を封印して高価なオブジェとするか、それともダメもとで修理にチャレンジしてPlusを復活させるか。