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88界のラストエンペラー~PC-8801MC メンテナンス編

88界のラストエンペラー~PC-8801MC メンテナンス編

いよいよメンテナンス

前回PC-8801MCを各パーツごとに分解し、4枚に卸すことができた。分解の目的はもちろんメンテナンスなので、今回はMCのメンテナンスについて解説しよう。
メンテナンスと言っても、本格的な電子回路の知識がなければ、やれることは自ずと限られてくる。

・外装、内装の清掃
二次電池の除去と交換
コンデンサの交換

などなど。それ以上に修理が必要な場合は上級クラスの人達におまかせするか、泣いて馬謖を斬るほかはない。

幸いなことに40年前のパソコンには、ハードディスクもなければUSBもない。構造自体が単純なので、上記のメンテナンスで直る可能性が十分に高い。完全動作の個体が少ないレトロPCを扱うならば、ある程度の修理やパーツの交換くらいはできるようにしてきたいところだ。

樽型の憎いやつ!

中古の88を購入したらまず真っ先にやらなくてはならないことがある。それは憎き“内蔵二次電池の除去”である。

88には、マシンの設定や日付を記憶させておくための二次電池が装備されている。Flash ROMなどない時代、常に電力を保持し、設定内容をRAMに記憶させておく必要があった。
しかし、この二次電池には、ながいながい年月を経て、液漏れを起こすという重大な欠点がある。
電池から漏れた液体は本体基盤へと流れ込み、マザーボードの回路パターンを侵食することで断線が発生し、重大な故障の原因となる。したがって一刻も早く、古い二次電池を除去しなければならないのだ。

比較的初期の88では、二次電池がなくとも通常動作させることができるのだが、中期~後期の88では、二次電池が接続されていないと電源投入時にけたたましいビープ音とともに警告画面が表示されるようになった。まぁ、警告なので無視すればいいだけの話なのだが、それでも精神衛生上あまりよろしくないので、除去したらなるべく新品の二次電池を装着しておきたいところだ。

二次電池

写真中央に見える水色の物体が悪名高い二次電池である。マザーボードに直接ハンダ漬けされているので、除去するには足をニッパーで切り落とすか、ハンダを除去する必要がある。のちに新品と交換するならばハンダごてとハンダ吸い取り線を使って除去するほかない。

オリジナルの二次電池は「2.4v 50mA」のニッカド電池だが、生憎と同規格の電池は現在販売されていないもよう。そもそもニッカド自体がもはやロストテクノロジーとなりつつあるのかもしれない。
Amazonで検索したところ同じ電圧で、80mAのニッケル水素電池があったので、こちらで代用する。これでひとまず液漏れに関する心配はなくなった。次に液漏れするのはおよそ40年後。さすがにもう生きてはいないだろうw

交換済みの二次電池

CD-ROMの分解

マザーボードが露わになったところで、本体ケースの黄ばみを除去する「ホワイトニング処理」を行うことにしよう。ホワイトニングに関する詳しいテクニックはまた別の機会に詳しく解説するとして問題はCD-ROMだ。写真を見ればわかるとおり、CD-ROMと本体のフロントパネルを見比べてみるとCD-ROMの方が黄ばみ具合が大きいことがわかる。かなり目立つので、これを見過ごすことはできない。

 


液体に漬け込むので、当然バラさなくてはいけないのだが、CD-ROMドライブはフロッピーディスクドライブなどと比べても複雑な構造をしているので、分解することで壊してしまう可能性が大きい。見た目を取るか・・・はてまた動作をとるか・・・うーむ・・・と、25秒くらい迷ったが、当然見た目を優先することにした。

88MC用のCD-ROMはソフトがほとんどリリースされていないので、ドライブも飾りみたいなものだ。そもそも、今回入手したMCのCD-ROMドライブもソフトを持っていないので動作確認がとれていない。飾りならキレイな方がいいに決まっている。ということで早速分解作業に入る。

背面のネジを外すと、ホタテのようにパッカンと開けることができる。ホタテと違うのは、中に複雑な配線がひしめき合っているところだ。配線をうまく外しつつ、少しずつ基盤を剥がしていく。後で分かったのだが、フロントパネルを外すのにハンダを溶かさなければならない箇所もある。

CD-ROMドライブ内部
もはや元に戻せないことを前提に分解作業をすすめ、どうにかこうにかフレームとフタ、それに基盤やヘッドなどを取り分けることができた。作業に集中するあまり、写真を撮ることをすっかり忘れていて、のちに大変後悔するハメになるとは、このときは知るよしもなかった・・・。

CD-ROMドライブ開封
CD-ROMドライブを上部と底部のプラ部分に分け、どうにかこうにかホワイトニングの作業に取りかかることができるようになった。

白いなっていいな^^

あとは各パーツにキッチンハイターEXを振りまきラップでくるんでからお日様の下で数時間放置すればホワイトニングの終了だ! 施行前と施行後を比べてみると、その効果は一目瞭然! CD-ROMドライブの組み立てがうまく行ったのかどうかチェックできないのが心の残りだけど、ここはやはり見栄えを優先して良かったということにしておこう!

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